鈍感ガールと偽王子
「…え、もしかして」
『そ。キャラ、作ってんの。そうしないとなんかがっかりされんだよな、昔から。だから、美結と今日普通に話せて、なんか、楽しかったんだ』
話して、っていうのはちょっと違うかもだけど、と椎葉くんは笑った。
『だからさ、これからも、たまに話し相手になってくんねぇかな。俺、なんでか
美結の前だとありのままの俺でいられたから』
「……うん、いいよ。あたしでよければ」
頼られて悪い気はしないしね。
…それに。
それに、今気付いたけど、あたしも今日普通に椎葉くんと話せてたよね?
びっくりしすぎたからかもしれないけど、これってすごい。
さっきまで、もう二度と関わりたくない、とか思ってたくせに、あたしは自分でも呆れるくらいあっさりと了承していた。
だ、だって、椎葉君、怒ってなかったんだもん…!
なんて、自分に言い訳。