鈍感ガールと偽王子


「…え、もしかして」


『そ。キャラ、作ってんの。そうしないとなんかがっかりされんだよな、昔から。だから、美結と今日普通に話せて、なんか、楽しかったんだ』



話して、っていうのはちょっと違うかもだけど、と椎葉くんは笑った。



『だからさ、これからも、たまに話し相手になってくんねぇかな。俺、なんでか
美結の前だとありのままの俺でいられたから』



「……うん、いいよ。あたしでよければ」



頼られて悪い気はしないしね。



…それに。



それに、今気付いたけど、あたしも今日普通に椎葉くんと話せてたよね?



びっくりしすぎたからかもしれないけど、これってすごい。



さっきまで、もう二度と関わりたくない、とか思ってたくせに、あたしは自分でも呆れるくらいあっさりと了承していた。


だ、だって、椎葉君、怒ってなかったんだもん…!


なんて、自分に言い訳。


< 39 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop