鈍感ガールと偽王子


「キス、もしました…」



そう言って「ほんとごめん!!」と頭を下げる椎葉くん。


でもあたしはそんな言葉耳に入って無かった。



き、キス…?



って、あれだよね、ここまで謝ってるんだから、ほっぺに、とかじゃなくて…。



椎葉くんの言葉の意味を理解した、瞬間。


かあああっ、と顔が一気に熱くなる。



「う、嘘でしょ!?」


「ほんっとごめん!!美結可愛いしモテそうだし、まさかキスまでしたこと無いとは思ってなくて……!」



椎葉くんが言ってるのはもしかしなくても初めて会った日のことだろう。



まさか、記憶の無いうちにファーストキスが終わってるとは…。



「ま、待って、『キスまでしたこと無い』ってことは、もしかして椎葉くん、あたしが処女なの知ってたの!?」



「あー…。いや、知ってたっていうか、その…、最中に、美結が自分で『初めてだから優しくして』って言ってきたから…」



さい…ちゅう…?



「……」



その意味を理解できなくて、あたしの頭は3回椎葉くんの言葉をリピートした。




……え!?



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