鈍感ガールと偽王子
「……付き合ったこともないし、デートしたこともないし、男の人と手をつないだこともありませんけど何か?」
もうこうなったらなんとでもなれ。
開き直って、あたしはそう言った。
すると椎葉くんは、「あちゃー」とでも言いたげに頭を抱える。
「…うわ、俺、どうしよ」
「さっきからなんなの?」
「……手、はごめん。繋いだ」
「え」
心底申し訳なさそうな顔をして、椎葉くんは言う。
……手、繋いだ?
一体いつ…。
「あと、もっとごめん…。たぶん、初めてだったよな」
「な、なにが!?」