鈍感ガールと偽王子
「……友達とケンカしただけだから」
これ以上黙っているとまた怒鳴られる気がして、仕方なくそう白状した。
「友達って、前一緒に飲みに来てた子?」
椎葉くんの問いかけにあたしはこくりと頷く。
「……なにがあったかは知らねぇけど、そんな落ち込んでるってことは、美結は自分が悪かったって分かってんだろ?」
もう一度、頷いた。
……そう。あたしが悪い。
俯いたら、泣きたくなった。
だってこんなこと、誰にも言えない。
……里奈に、あんなこと言っちゃったなんて。
「…話、聞いてほしいなら聞くけど?」
「いいよ、別に…」
「話して楽になることもあるんじゃねぇの」
「だって、聞いたら絶対呆れるもん」
「今更」
「なによ今更って…」
思わず、不機嫌な表情で俯いていた顔を上げた。