鈍感ガールと偽王子


椎葉くんと視線がぶつかって、軽い口調とは裏腹な心配そうな目に、何故かいっそう泣きたい気持ちになった。



「すでに涙目じゃん」


「うるさい」



キッと睨むと、椎葉くんは「全然怖くねぇ」と笑った。



…失礼な。


だけど、きっと椎葉くんはあたしのこと気遣ってくれている。



励まそうとしてくれている。



そんな優しさが伝わったからなのか、あたしはポツリポツリと話しだしていた。



昨日の、出来事を。





────────
────…。



最近、里奈は彼氏の話しかしない。



あたしと同じで異性が苦手な里奈にとっては初めての彼氏で。



だから今が幸せいっぱいなのも、



あたしより彼氏との時間を優先しているのも、


当然のこと。


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