鈍感ガールと偽王子


里奈の彼氏はバイト先の人らしくて、あたしは会ったことがないけど、里奈の話を聞く限りではとても優しい人のようだった。



以前は暇さえあれば里奈とふたりでご飯を食べに行ったりカラオケに行ったりしていたけど、今ではそんな機会も減っていた。



だから、昨日。




夜はほとんど彼氏の家に行ってしまう里奈が晩ごはんに誘ってくれたのは、本当に久しぶりで。



あたしは前みたいな会話がしたかった。


里奈自身の話が聞きたかった。


…だけど、里奈の口から出るのは男の話ばかり。



まあ、ノロケを聞くのも親友の役目だと思って、始めは笑いながら相槌を打っていたんだ。


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