身代わり恋愛

身体を起こして服を身につけようとすれば



「もう、帰るの?」




そんな声が後ろから聞こえてくる。





「うん」






本当は、聖也を見るだけで辛いよ。



こんな風に平気な態度とってるけど、一杯一杯なんだよ?



この気持ちは聖也に分からないよね?





全部声に出せたらどんだけ幸せだろう。





「気をつけて帰れよ」




送ってやるとも身体は大丈夫かとも聞かない聖也に私の思いは呆気なく崩される。




まだ情交の後が残るベッドに一人寝転がり、手を宙に振る彼が疎ましくさえ見えてしまう。




一回でもいいから、私を気にかけて欲しいと思うのは、贅沢なのかな。

< 15 / 108 >

この作品をシェア

pagetop