身代わり恋愛

小さい頃から、家族もお姉ちゃんの方に愛情が向いた。



頭も良くて、運動も出来て、何でもこなせるお姉ちゃんは、我が家の期待の星みたいなもんだった。



「由奈は頭がいい」


「由奈は可愛い」


「由奈は何でも出来る」



そう誰かがいうたびに



“明優は何にもできない”



そう言われてるようにさえ聞こえた。



笑い声が耐えないリビング。



でもそこに、私が入ると何故かバランスが崩れてしまう。



「ちゃんと勉強してるの?」


「明優もお姉ちゃんみたいになれよ」



相手からしたら、些細な言葉かもしれない。



でも、どこかいつもお姉ちゃんと比べられてるような気がして、高校に入ったあたりから私は、あまり家族との時間をとらなくなた。



そして必然と、距離をおいた。

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