身代わり恋愛

「痛い!痛いよ!聖也、離して!」

どんなに叫んでも、聖也の耳には届いていないのかキツくしばられた身体を解放してくれようとはしない。


「聖也…」


あまりの苦しさに声も掠れていく。


私には、聖也の方がよくわからないよ。



聖也は私に何を望んでるの?何がしたくて私にこんなことするの?


本当にわからないことだらけだよ。



「聖也…痛いよ…」



悲しくなんてないのに、生理的な涙が浮かんでくる。


抱きしめてくれるのは素直に嬉しい。



聖也の温もりを感じられる唯一の方法だから、嬉しくないはずがないよ。



でも、今はその温もりも感じられない。

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