恋するキミの、愛しい秘めごと

手元の小さな透明の板に視線を落とすと、金色のいくつかの模様が描かれていた。

人差し指でそのひとつにそっと触れる。

すると――。

「……綺麗」

ポツリポツリと。

まるで暖炉の薪に火が灯るように、真っ黒だったガラスの球体に光が灯っていく。

それがゆっくりと、6つの大陸をかたどっていき……キラキラ光る“夜の地球”に変わっていった。

「正解。ヒヨはそれを1番に選ぶと思った」

「……どうして」

「ん?」

「どうして、これを――っ」

今更、私に。

カンちゃんにそんな質問を投げかけながらも、彼の表情から、その理由に気が付いていたのかもしれない。

だから、気づいた時には小さな地球の灯りが滲んで……。

その上に、ポタポタと温かい雫が落ちていた。

「日和」

ほら。

いつもは「ヒヨ」とか「ヒヨコ」とか呼ぶくせに、こんな時ばっかり“日和”なんて呼ぶんだ。

だから嫌でも気づいてしまう。

カンちゃんがこの後私に告げようとしていることが、どれほど真剣なものなのかわかってしまう。

「榊原さんが昨日、日和に話した通り、俺はずっと日和のことが好きだった」

そう言ってカンちゃんは、黒目がちな瞳を細めながら、そっと伸ばした指で私の涙を拭う。

笑っているはずのカンちゃんの瞳は、小さく震えているようで、見ているこっちが苦しくなる。

「俺は狡い」

「……」

「自分で日和から離れて、“お兄ちゃん”なんて言って線を引いたくせに……それでも自分は、日和の特別な存在なんだって思いたがってる」

「……」

「日和を抱いたのだって、俺が耐えられなかったからだ」

まるでそうすることで、自分の気持ちを一つ一つ、お墓に埋めていくみたいに、カンちゃんは自分の抱いていた想いをポツリポツリと口にして。

「でも、それじゃダメなんだよな」

その後に続く言葉がわかってしまったから――心臓が止まるんじゃないかと思うほど胸が痛んで、閉じた瞳から、またポロポロと涙が零れ落ちた。

もっと触れていて欲しかった。

大きくて温かい、その手で触れていて欲しかったけど……。

そっと離れたカンちゃんの手に、ゆっくりと瞳を開いた。

< 181 / 249 >

この作品をシェア

pagetop