お嬢様の秘密Ⅱ
「いいわ。皆さん着いて来なさい。いいものを見せてあげるわ。」


真理亜様はそう言うと車椅子を器用に動かし、西の方へ向かった。


ゾロゾロと後に続く生徒たち。


「………どういうつもりなのこれ?」


夏菜が私に近寄ってきて耳打ちしてきた。


「西の方って占いで悪い方角だから生徒は物好きじゃないと近づかないよね?」


興味本位で実際西の方へ行った生徒の家の業績が急に落ちたことから学園の呪いとして知られている。


「真理亜様の執事ってジャックだよね?車椅子を動かす手伝いすらしないの?」


夏菜の指摘は私もちょうど思っていたことだった。


「………調べてみる必要があるみたいね、広大さん。」


「内密にお調べいたします。夏菜様には梶原を通じてご連絡いたすことにします。」


「お願いしますわ。………高澤君にも?」


一瞬考え込んだけど……どうしよう。


「葵は………吉崎さんをあまり控えさせないから近づくのが難しいんだよね………。」


直接連絡はもちろん論外。


「玲央を通じればよいでしょうか?」


広大さんがポツリとつぶやいた。


「「あ!それいいかも!!」」


ハモって思わず顔を見合わせる。


「じゃあそれで。」


話が解決したところでふと前を見ると、集団は随分と前の方へ行ってしまったので私たちは走って追いかけた。
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