お嬢様の秘密Ⅱ

操り人形

葵はもう着いているかな……。


デュエル会場にわざと遅刻して到着した私。


「どういうつもりかしら、ユリ。遅刻したわね?」


みんなドレスやスーツを着て正装をしていた。


夏海は青いドレスに身をまとっているし、真理亜様は白いドレスだった。


「………今ちょうど7時になったところよ?この会場の時計は少し巻いてあるのよ。」


私の言葉にギャラリーは一斉に確認を始めた。


納得した様子に夏海はさらにイライラしてしまったみたい。


「………じゃあ始めましょうか。ユリと私のデュエルを。」


観客席より低めに作ってあるデュエル会場。


見上げれば大勢の観客がこちらを見つめているのがわかる。


私の関係者はすぐ近くにいた。


「勝負内容は後継者ですわね。審判はどなたが?」


「私、桜井理央が務めさせていただきます。」


真理亜様の隣に理央が礼をして立っていた。


「ではご準備を。」


1つ息を吐き、夏菜の方に近寄った。


「………ユリ。」


「………泣いたらかわいい夏菜が台無しだよ。私は大丈夫だから。」


「………ちょっとは自分の心配をしてよ……。」


私はそっと夏菜に抱きついた。


「夏菜が心配してくれるのなら十分だから。………頑張ってくるね。」


安心させるように笑ったら、夏菜も泣きそうな顔で笑い返してくれた。
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