お嬢様の秘密Ⅱ
コツコツ………


私のヒールの音が響き渡った。


「さあ、始めましょうか。………執事さん?」


位置についたところで理央が合図をした。


「戦闘不能になるまでです。ではスタート!」








開始の合図から1分は経ったのかな。


会場は不気味なほど静まっている。


「そちらからどうぞ?」


夏海の執事さんは遠慮がちに私のみぞおちに拳を入れてきた。


「何やってるのよ!さっさと倒しなさいよ!」


夏海の罵声が飛ぶ。


………執事を何だと思っているの!


この一言は私をだいぶ怒らせたかもしれない。


出してきた拳をあっさりとつかみ、そのまま背負い投げに切り替えた。


「お嬢様、本気を出してはいけませんよ。」


「じゃあ当たり障りなく殴ってくださらない?私もそれっぽく返していくから。」


もちろんこの会話は夏海には聞こえていない。


遠くから見れば本気で殴り合っているようにしか見えていないはず。


「何で決着がつかないのよ………!」


夏海が歯ぎしりしているのを横目に私はかなり冷静だった。






もう10分はやったよね……


そろそろこんな遊びを止めたい………!





『お嬢様!もう大丈夫ですよ。』


この声は………


ピアスから声が聞こえてきた。


………ここからが本番よ。




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