お嬢様の秘密Ⅱ
私は戦っていた執事に目配せをした。


それに気づいた執事はひざまづいた。


「お嬢様、だいぶお強くなられております。もうお遊びはやめにいたしましょう。もう私も歳ですし。私の負けです。」


「そんなことございませんわよ。たまにはいい遊びになるわね。」


場内はこの会話に唖然としていた。


夏海と横にいた陽菜は憎悪の目で私たちを見ていた。


「何してるのよ!まだまだ余裕じゃない、倒しなさいよ!」


「………私はあなたの執事ではございません。」


はっきりと明言した。


会場の人はもう何も言わずに見守ることにしたみたい。


「何を戯言を。」


「戯言なんかじゃないわよ、夏海。」


ヒールの音を響かせながら近づいてきた。


「奥様、なぜここに。」


「お母様?」


「………私はあなたの母ではないですよ。それにこの執事は誰か冷静になったら分かるんじゃない?」


夏海も私たちのいる中央の方へ寄ってきた。


「あなたは………。」


「やっと気づいたかしら?あなたにつけていた執事は竜也。私と大樹の執事よ。」


「ユリお嬢様と訓練をしろと言われておりますが、戦闘不能にしろとは言われておりません。」


「夏海さん、もう誰が勝ったかお分かりでしょう?そうじゃなかったらこんなデュエルは最初から納得しないわよ。」


私が一番言いたいのは………


「自分が欲しいものがあるなら正当法で戦えばいいの。執事に任せてあぐらかいているようじゃ信用を失うわ。



執事を味方にしたいのならモノ扱いはやめなさい!」


私の言葉に夏海は膝から崩れ落ちていった。


それを陽菜が支えている。


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