お嬢様の秘密Ⅱ
「いい加減にしろ。」


その場を一瞬で黙らせることができる声。


「ユリ……待たせたな。」


「忙しいのにごめんなさい。お祖父様。」


「何よこれ!?どういうこと………?」


さよさんは気が動転しているようだ


「先にあなたから話して。さよ様。」


「分かったわよ………。」


私にピストルを向けながら話し始めた。


「私は許せなかったのよ。西月に嫁いで尽くしていたのに夫に浮気されて家は没落していって。

誠一郎は秋本をついで家を大きくしてチヤホヤされて。男と女でこんなに違うのよ!」


浮気された原因は夫との不仲。


それって八つ当たり………!


「恵梨香が仲のいい子が出来たと言っていたからその子を調べたらうちには釣り合わない子で、学費を払ってやったのに大樹を取っていくし。

学園の様子は調べさせて逐一報告させていたから結婚は望めないことはすぐに分かったわ。

だから脅しのつもりであの子を使って奈々子に仕掛けたのよ。奈々子だって秋本の足元にも及ばない子だったのに。」


「………夏海さんと陽菜は?」


「陽菜は真理亜になついていたから私の言うことはすんなり聞いたわ。

『後継者にさせるから協力して』って言えばね。

夏海は妹の孫で気にかけていたのよ。両親はすぐになくなって妹に預けられていたけどその妹も亡くなって身寄りがいなかったから。」


真理亜様は驚いたように陽菜を見つめ、陽菜は申し訳なさそうに真理亜様を見つめていた。


「真理亜様は私の恩人ですから。絶対に後継者にならなければと思っていました。」


「それが……私の願いでなくても?」


「それは…!」


陽菜は自分がようやく自己満足で動いていたのに気づいた。


もう陽菜は大丈夫……


あとは、夏海とさよ様。


< 262 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop