お嬢様の秘密Ⅱ
それは大樹が旅立ったあとに起こったこと。


ある1月の寒い日だった。


午前中の授業が終わり、食堂へ移動しようかと思っていた。


「ねぇりー?今時間ある?」


「え?あるけど?」


改まって聞いてくるんだからよっぽどのことなのかな。


えりーとは私が教室を飛び出した時からなんとなくギクシャクしていた。


私もえりーもお互いあの時のことは触れないようにして、周囲の目に仲が悪いと思わせないように頑張っていた。



「じゃあちょっとついてきてくれない?教室じゃ話しづらいことなの。」


「そう?分かったわ。でも今から先生に提出しなきゃいけないものがあるから場所指定してくれないかな?」


今思えばこの時えりーはほくそ笑んでいたと思う。


あえてこの時を狙ったかのように。


「じゃあ北側のベンチで待ってるね。」


「了解。すぐに行くからね。」


私は何も疑わなかった。





「国松、ちょっと出かけてくる。」


「あの………どちらへ?」


「あ……えりーと会うだけだからついてこなくていいわ。」


「かしこまりました。」


国松も執事の試験で忙しい頃だったから邪魔したくないっていう気持ちが強かった。


雷也はえりーのことを訝しげに思っていたみたいだから雷也に言う訳にはいかなかった。


絶対止められるし、どんな約束でも守りたかった。

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