お嬢様の秘密Ⅱ
私をベッドに寝かし直した人はすぐに部屋を出ていった。


私は今どこにいるんだろう.....。


「莉依紗様。」


はっと我に返り、呼ばれた方を見ると、医者らしき人と、起きた時にいた人と、もうひとり同じようにスーツをきた人がいた。


「国松、なぜお嬢様についていかなかったんだ!」


「お嬢様に止められたのでございます!それでも途中まではついていきましたが見失って.....。」


「待て、二人共。今はもめている場合じゃないだろ。」


と白衣の人は二人を諌めた。


「莉依紗様。私はこの学園の専門医師と学園長を努めております。安藤隆治と申します。

とりあえず食事をなさってからいろいろお話したいと思います。」


「わかったわ.....。」


とても食べれる気分じゃなかったけどなんとか口にした。





「さて.....いくつかご質問してもよろしいですか?もちろん簡単なものでございますよ。」


「はい。お願いいたします。」


「まず....。名前以外に覚えていらっしゃるものはございますか?」


「えっと......。夕食を頂いてから少しは心を落ち着かせることができたのか.....。

少しは思い出せたかもしれません。家族.....母と父と妹は思い出せました。でも今のところはまだ....」


「学園長、間違いはございません。」


「そうか.....。名前を覚えていたのは奇跡かもしれませんな。物理的ショックの記憶喪失もあるのですが.....。

おそらく精神的なものが大きいと思います。何か.....心当たりは?」


―ズキン


「今すごい不安と...絶望でしか心は満たされていません。」


「教室へ行った方が......「嫌!それは.....」


急にすごい頭痛が酷くなった。


「はぁはぁ.....。」


「お嬢様.....?」


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