お嬢様の秘密Ⅱ
なんとか卒業式は出て、私はすぐに学園を出た。


荷物は全て学園長の屋敷に移動させてあったので寮は空き部屋になっているはず。


「準備私がやるわ。」


「何を言ってらっしゃってるんですか、お嬢様。体調が優れていらっしゃらないのですからお休み下さい。

安心なさいませ。忘れ物など皆無ですよ。」


「分かったわ………。…………国松。」


ハッとした。


「お嬢様………私の名前を思い出されたのですね!」


「少しづつ回復しているみたいだわ。あと、雷也もよ。」


「それはようございました。」


私は手の空いたメイドから紅茶をもらい、準備が終わるまで休ませてもらった。




「そう。国松は学園に残るのね………。」


改めて今後の予定を確認した。


「私は学園内では執事としてお勤めできるのですが、仮免許なので学園外ではお勤めできないのです。」


執事はベテランを付けている人が多いのだけど、敢えて主人と同じ年頃の子を執事として仕えさせることもできる。


ただし、あくまで執事は執事科の生徒であるけど。


「雷也さんはすでにSランクの資格を取得されておりますので何かと頼りになるお方です。」


「ねえ………なんで雷也は第2執事になったのかしら………。」


なんか靄がかかったようで思い出せない。


「思い出されるまでお待ちしたほうがよろしいかと思いますよ。」


「そうね………。」


と、そこへ雷也が入ってきた。


「莉依紗様。お会いしたいとおっしゃっている方がいらっしゃいます。お会いになってみますか?」


「どなたなの?」


「もしかしたら莉依紗様の記憶が戻るきっかけとなる方かもしれません。」


「そう………。でも思い出すのは………まだ怖いわ。………だけど会ってみたいわ。」


「分かりました。では準備が出来たらお呼びいたしますので身なりを整えてくださいませ。」


雷也がパチンと指を鳴らすと………


「「「私たちにお任せくださいませ」」」




ー妙に張り切った大勢のベテランメイドが入ってきた………


「お嬢様。覚悟なさいませ。」


私は着替え室に連れて行かれ着回し人形と化した………。


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