お嬢様の秘密Ⅱ
-大樹side-


眠ってしまった莉依紗をそっとかかえ、俺はお袋の病院へ移動した。


学校は休んでも構わないよな。


「こんな感じよ………。」


「なんですぐに連絡してくれなかったんだ!?」


「だって大樹は誠ちゃんの代わりで忙しかったんでしょう。それなのに莉依紗さんのことを言ったらあなたどうする気だったの?」


「そりゃ、すぐに戻るけど?」


「でしょうね。でもあなたは1人の人間だけど、同時に何百万人もの人の生活を支えていかなくてはいけない立場になるのよ。

厳しいことを言うようだけど秋本家の人間である以上、そこははっきりと区別していかなくてはいけないのよ。」


確かにそうだ。


俺は何も言えなかった。


「ゲホッゲホッ………」


「お袋!?」


ただの咳かと思って近くに置いておるハンカチを渡したが。


「血が………。なあ、今の症状って………。」


「持病がそろそろ悪化してきたわ。それに風邪をこじらせてしまったし。………ここまでこの状況を保っているのも奇跡だって言われたわ。

癌もひどくなってきたみたいだし………。」


「親父は知ってるのか?」


「ええ。でも莉依紗さんは知らないわ。ここ半年忙しかったみたいでなかなかここに来れなかったみたいだし。」


「そうか………。」


どうしてそんなお袋は平然としていられるんだろう。
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