好きだから。

教室に戻ると友達が声をかけてきた。

「お前、好きなヤツいたのかよー。俺にぐらい言えよな」




「別に聞かれてないし」


「流石、クール王子」



「止めろ、それ」



「はいはい。っで?」



「何?」



「誰な訳?」



「何が?」



「もぅ、焦らすなよ!!お前の好きな人!!」



「言わねぇよ」



「ひょっとして照れてる?」



「…………」



「黙っちゃってー、こんなのファンが知ったら泣くねぇ~」



「勝手に泣いてろ。だいたい、ファンとかうぜー」



「お前そうとう溺愛してんのな(笑)」



「うるせぇーよ」



珍しく弄られているとケータイが鳴った 。



「はい、もしもし?」



「…………」



「もしもし?」



「…………いきなりごめん」



「っ!!おい、今どこにいる?」


僕には名前を聞かなくても直ぐにキミだと分かった。



「…………。」



「おいっ!キミだよな?今どこにいるんだよ?、!!」



「…………優」



「っキミ?どこにいるんだ?」



「……………………助けて」



「キミ!!!しっかりしろ!」



「…………家、いる」



「家か?家だな?今すぐ行くから。」


急いで電話を切った。


「どーした?」

尋常じゃない僕の様子に心配そうに尋ねた。



「わりぃ。ちょっと帰るわ。先生に言っといて」


「えっ…………あ、おい!」


そんな呼びかけにもムシして走りだした。



何があった?
キミは何があっても泣かないだろ?


そんなキミだから、僕は心配なんだ。

なんでも、一人で抱え込もうとするだろう?

いつか、キミが壊れちゃいそうで心配で堪らないよ。

だからキミが悩んでる時は僕が一番に気付いてあげたいってずっーと思ってた
< 26 / 30 >

この作品をシェア

pagetop