小さな宝箱

風のようにすり抜けてしまう貴女へ

教室の窓をぼんやりと眺めている彼女。

名前は岡野 小夜。一週間前に転入してきた女の子。

キレイな黒髪が印象的で目が大きい。控えめな性格かと思ったら(見た目が大人しいかんじ)、前向きで元気な子。

もうクラスの全員と仲良しだ。俺もその一人。



彼女はよく笑う。俺はその笑顔に惹かれてしまった。

いつの間にか彼女を目で追っていて、気付けば彼女の声に反応する。


これが恋なんだって改めて実感する。



彼女はよく話しをする。近くのやつと話しをしてると思ったら、いつの間にか違うやつと話している。



風のように居なくなったり、近くにいたり……

彼女はなかなか掴めない存在だった。
いろいろなものに興味を示した。


「直人クン。この間いってたCD持ってきたけど、どーする?」

気付けば近くにいた小夜ちゃん。

「ありがとな。今渡してくんない?」


待っててと言ってCDを取りに行ったCD。

この間のCDというのは、初めて話したトキに話題に出たアーティストのCD。それに興味を示した俺に小夜ちゃんが貸してくれる約束だった。



「はい、直人クン。スッゴいいい曲ばかりだから。」

「帰ったら、即聴く」

ニコッと笑う小夜ちゃん。……やっぱかわいいなぁ……

「あっ!!そーだ!」

「どーした?」

「あのさ直人クン。今度の日曜日空いてる?」

「へーきだけど?どうした?」

「その日にこのバンドのライブがあるんだけど……一枚残ってるの。良かったら一緒に行かない?」

「!!!!!?」


驚いた。勿論俺の答えは
「いいぜ!」


彼女はまた可愛く笑う。
「ありがと。後でメールするね!!」


そー言ってまたどこかへ行ってしまう。



風のように去った貴女の誘いに、俺がどれだけ嬉しかったか。


あのキレイに可愛く笑う貴女の顔にどれだけ心臓が騒いだか。



俺は我慢出来なくて、小夜ちゃんのもとへ行く。
「小夜ちゃん!俺小夜ちゃんが好き」

教室の中で大胆に告白

彼女はビックリした後でまたキレイに笑う。



俺の中に風が吹いた……貴女という風が……
幸せの風が………
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