スーツを着た悪魔【完結】

いわゆるお姫様抱っこというやつで、Tシャツ一枚のまゆは硬直して目を丸くしている。



「!?」

「続きはベッドで」

「っ!」



人形のように固まっているまゆを深青はにっこりと笑って見下ろした。



――――……



ベッドはキッチンスペースと同じ2階の奥だった。

ただ、部屋に仕切りらしい仕切りもなく、和風モダンな衝立がいくつか適当にベッドの周りに置かれていて、やたら開放的に感じる。


こんなに広い部屋で落ち着いて眠ることは出来るんだろうか……。


まゆは深青に抱かれたまま、半ば現実逃避のようにそんなことを考える。


もう、何がなんだかわからなかった。

今さら……深青に惹かれていない、なんて自分に嘘はつけない。

腹が立つこともたくさんあったけど、だけどそれ以上に彼に惹かれている。


好きになってはいけない、ふさわしくないと頭でどれだけわかっていても、深青に触れられるだけで、心も体も蕩けそうになる。




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