スーツを着た悪魔【完結】

「行こう。迎えの車が来ているはずだ」

「はい」



深青の背中を追いかけると、確かに改札を出たところに、豪徳寺グループから派遣されたらしい男性が待っている。

彼は深青の姿を発見すると、すぐに近づいてきて、慇懃無礼に頭を下げる。



「深青様、お待ちしておりました。お荷物はこちらでお預かりします。ホテルに送っておきましょう」

「ああ、頼む」



そして深青は、自分の荷物とまゆの荷物を手渡すと、斜め後ろに立つまゆを振り返った。



「まず、昼一番に料亭で会合なんだ。おまえは別室になるけど、ちゃんと用意させるからな」

「は、はいっ」



三人は駅を出、そこに待ち受けている黒塗りのハイヤーに乗り込む。

深青が言うには、ハイヤーはそのまま東山の老舗料亭へと向かうらしい。


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