スーツを着た悪魔【完結】

まゆはぐっと喉の奥からせりあがってくる何かを飲みこみながら、自分を好きだと言ってくれる男の顔を見つめた。



「まゆ……」



まゆの柔らかな頬に手のひらを乗せ、親指で優しく目の下を撫でる深青。



「本当に、大丈夫なんだな?」



真意を確かめる、彼の色素の薄い茶色の瞳は、まゆをまっすぐに見つめて逸らされない。


深青っていつもこう。

話す時はいつも体のどこかに触れて、目を見て話す。

だから守られているような、あったかい気持ちになれる。



「うん。大丈夫だから。私のこと信じて」



力強くうなずくまゆに、深青はそれ以上何も言えなくなった。



「――そうか、わかった」

「うん。ありがとう」



ホッとしたまゆは、息を吐き、深青から体を離し、にっこりと微笑んだ。



「じゃあ、寝よっか」

「ああ……」




< 432 / 569 >

この作品をシェア

pagetop