スーツを着た悪魔【完結】
けれどそれは男がいない理由にはならないし、悠馬を慰めもしなかった。
もし、まゆが男を知ったというのなら――
まったく腹が立たないといえば嘘になるが、元々処女にこだわっているわけでもない。
ただ、やり方を変えなければならない。もっとも効率よく、ことを進めなければならない。
悠馬は胸ポケットからシガーケースを取りだすと、優雅な手つきで一本煙草を取り出し、火をつけた。
ジジジ、と巻紙が焼ける音とニコチンが、ほんの少し苛立ちぎみの悠馬の感情を優しく押さえつける。
まゆは怯えながらも、まだ僕を善良な従兄だと信じている。
それを利用しない手はないだろう。
言葉だけで縛り付けられるのはここまで、ということがわかった。
だったら僕は僕らしく、まゆを縛るだけ。
逃げるなんて許さない。
君は僕のもの。僕の玩具だ。
薄い唇に微笑を浮かべ、悠馬はもと来た道を歩いて戻る。
彼の心は決まっていた。