スーツを着た悪魔【完結】
そしてドアが閉まると同時に、カチャリとロックされる音。
まゆは、全身の毛穴という毛穴がザワッと音を立てて開くのがわかった。
「悠ちゃん、おろして……!」
「大丈夫だって」
悠馬は笑顔のまままゆを椅子の上に座らせると、冷蔵庫を開けて振り返った。
「お水、飲む?」
「――」
ペットボトルの中身をグラスにそそぎ、差し出されて、まゆは無言でそれを受け取り、煽るように飲み干した。
少し休めばよくなるなんて――
嘘だ。
いくら経験がなくても自分が今どんな状況に置かれているか、わからないはずがない。
まゆは半泣きになりながら、そうささやく。
「もう、よくなったからっ……」
「――」
悠馬は椅子には腰を下ろさず、無言でまゆを見下ろしている。