スーツを着た悪魔【完結】
顔をひねると、深青はその意地悪なキスをやめ、背骨のラインをたどり、口づけを落としていく。
ウエストのあたりで止まっているパジャマがもどかしかったけれど、まゆはそれを自分で脱ぎ捨てる勇気もなく、ただ深青に与えられるキスに溺れる。
気が付いたらまた、深青の膝の上だった。
今度は直接、深青の手がまゆの素肌に触れている。
上半身裸だけれど、体をしっかりと近づけてキスしているせいか、それほど恥ずかしくはなかった。
深青の手はまゆの頬を両手で包むように撫でた後、長い髪を耳にかけ、首筋をなぞり、鎖骨の上を押していく。
「まゆ……舌、出して」
深青の命令にまゆが舌を出すと、彼はまゆの舌を口に含み、唇でしごき始める。
「ん、んっ……」
唇の端から唾液がこぼれる。
普段口の中に素知らぬ顔で鎮座している舌が、こんな風に感じるなんて知らなかった……。