スーツを着た悪魔【完結】

入り口に一番近い席が、まゆに与えられた席だった。

右手にOrlandoの出入り口のドアがあり、反対側の、左の奥はずらりとデスクが。
パーティション型プランターで区切られた一番奥が、社長である深青のデスクらしい。

背後には大きな窓があり、空が見える。


隣は老舗オフィスビルとして有名な「青天目ビルヂング」だった。


あそこに新しい会社が入ると、成功すると言うジンクスがあるんだっけ。


眺め、いいなぁ……。

以前は窓を背にして働いていたので、空が近いというだけで、なんだか心が晴れる。


まゆの胸は新しい職場への適度な緊張感と期待で、はちきれそうになっていた。



「あの、ところで社長は? ご挨拶とかしなくていいんでしょうか」

「ああ、社長は滅多にこないよ。他にもいろいろ手広くやってるからね。まぁ、ここは立ち上げたばかりだから、週に一回は顔を出すかな?」

「そうなんですか」



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