塔の中の魔女
◇
その場所へは、ひとりで行かなければならないと言われていた。
伝説の魔女が住む塔。
強い結界が張ってあり、
大国ゼルダンの猛攻にも、侵入を許さなかった小国ユダの僻地。
「本当にひとりで行かれるおつもりですか?」
側近のラッツェルが聞いた。
身支度を整え終えた若き十八歳の王、ロゼリンは、一瞬キョトンとした顔をして笑う。
「当たり前だろ。伝説じゃ、その魔女さんは外の世界にまったく興味がなくて、人を寄せつけないっていうじゃねぇか。
それなのに、大軍引き連れて押し掛けてみろ。
雷でも落とされかねないぞ」
「それは否定しませんが。
せめて、近くの村に駐屯することは叶いませんか?
自国内とはいえ、あなたをひとりで僻地へ行かせるのには抵抗があります」
その場所へは、ひとりで行かなければならないと言われていた。
伝説の魔女が住む塔。
強い結界が張ってあり、
大国ゼルダンの猛攻にも、侵入を許さなかった小国ユダの僻地。
「本当にひとりで行かれるおつもりですか?」
側近のラッツェルが聞いた。
身支度を整え終えた若き十八歳の王、ロゼリンは、一瞬キョトンとした顔をして笑う。
「当たり前だろ。伝説じゃ、その魔女さんは外の世界にまったく興味がなくて、人を寄せつけないっていうじゃねぇか。
それなのに、大軍引き連れて押し掛けてみろ。
雷でも落とされかねないぞ」
「それは否定しませんが。
せめて、近くの村に駐屯することは叶いませんか?
自国内とはいえ、あなたをひとりで僻地へ行かせるのには抵抗があります」