夢の欠片



あれから……


何度か中田の父を訪ねたけれど、いつ会いに行っても父は優しく受け入れてくれた。


再婚相手にも紹介されたこともあって、父のためにいい娘を演じようと必死になったこともある。


でもそんな必要もないくらい彼女は素敵でおおらかだった。


この人になら、別れた妻と娘がいることを話そうと思えるのがわかる。


彼女は愛未(まなみ)さんという女性だった。


父が愛しそうにその名を呼ぶとき、少しだけ胸がチクッと傷んだ。


再婚したと聞いた時は、素直に祝福できたのに、父を知れば知るほど独占欲が強くなっていくのかもしれない。


それでも私は愛未さんが好きだった。


こんな人が母親だったら良かったのに……


今度は一緒に買い物にでも行きましょうね?


そんな風に言ってくれた愛未さんはうっとりするほどキレイで優しかった。


母も元々は可愛らしい容姿をしているはずだったのに……


今でもたくさん男の人が寄ってくるところをみると、衰えてはいないはずだ。


でも愛未さんのように幸せのオーラを纏った輝きとは全く逆のものだと私は思った。


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