夢の欠片
そっか……


父は愛未さんの辛い過去を自分以外の誰にも話したくなかったんだ。


愛未さんをこれ以上苦しませないために……


そしてそのことを、愛未さんには伝えなかった。


ふふっ……やるじゃん?お父さん。


そんな父が嫌いじゃなかった。


自分の保身のために、愛未さんの事情をベラベラ話すような人よりよっぽどいい。


それに……


愛未さんのことも責める気にはならない。


だって彼女は何も悪くないんだから……


ただ父のおかげで生きようって思えるようになっただけだ。


「愛未さん?

もう泣かないでください

私……お父さんも愛未さんも責めるつもりありませんから」


自分の気持ちを正直に伝えると、愛未さんは目を真ん丸にして私を見る。


「許してくれるの?」


「許すも何も、愛未さんは悪くないです

それに愛未さんが生きる希望を持てたのが父のおかげだとしたら……

私は父を誇りに思います」


にっこり笑ってそう言うと、愛未さんは涙でグチャグチャな顔をこちらに向けて、とびっきりの笑顔を見せてくれた。


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