夢の欠片
翔吾が優しい顔になったことにホッとしたのか、二人はもう一度、翔吾と私に謝ると、そそくさとどこかへ消えていった。


「ありがとね?翔吾」


私も一応、助けてもらったお礼を言う。


すると翔吾は二人を見送ってた視線を私に向けて、さっきとは違う優しい睨みをきかせながら言った。


「お前、隙ありすぎだろ?

なんで俺がすぐ来るってわかってんのに、ベンチになんか座ってんだよ!

誘ってくださいって言ってるようなもんだろ?」


――そうなの?


ベンチに座って待つことが、隙を与えてることになるなんて、全く知らなかった。


私が困惑しながら眉間に皺を寄せていると、いつものようにデコピンをされる。


そして仕方ないなというように笑いながら、私に言った。


「まあそうやって狙ってるやつがいるのが悪いんだけどな……

でも自分の気の持ちようで、そういう奴らをはね除けるオーラは絶対出るはずだから

ボサーッとしてないで、もっと危機感持つんだぞ?」


そういうことか……


私があまりにも無防備だったってことなんだ。


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