夢の欠片
翔吾が必要以上に心配性だったわけが、今わかった気がした。


「わかった!翔吾?ごめんね?心配かけちゃって……」


しおらしくそう言うと、翔吾は私の頭をグシャグシャにしながらニカッと笑う。


「わかればいんだよ

ほら!帰るぞ!後ろ乗れ」


自転車の荷台を指差して、翔吾はそう誘導した。


二人乗りかぁ……


なんだかちょっとだけ照れてしまう。


私が乗るのを躊躇していると、「早くしろ~」と急かしてきた。


私は覚悟を決めて、横座りで荷台に乗ると、どこに手を持っていっていいのか戸惑う。


そんな私を見てクスッと笑いながら、翔吾は私の両手を掴むと、自分の腰に抱きつくようにさせた。


私はそれだけで胸がドキドキして、翔吾の背中に心臓の音が伝わってしまうんじゃないかという思いでいっぱいになる。


「よし!しゅっぱーつ!」


私のこんな気持ちには気づかないふりをしているのか、翔吾はそう言って自転車をこぎだした。


すっかり暗くなってしまった道程を、翔吾と私を乗せた自転車がスイスイ進んでいく。


まるでこの世に二人きりしか存在しないかのようなこの瞬間に、私は幸せを感じて、さっきよりももっと力強く翔吾に抱きついた。



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