夢の欠片
「俺のとこはひなと違って、わかりきってるから……

親父は酒呑んで暴れて、お袋は浮気して出ていったんだぞ?

俺は捨てられたんだ

俺がいなくなったって探そうともしない親なんだよ!

だからひなとは違う」


「違わないよ!

私だってずっと父親に捨てられたって思ってた

お母さんだっていろんな男に依存して私を邪魔なんだって思ってた

だけど本当はちゃんと愛してくれてたんだよ?

親だって人間だもん

不器用にしか愛せないこともあるんだよ

それに私達……これから親になるんだから、そんな風に親を恨んだまま翔吾に父親になってほしくない……」


翔吾は不機嫌な顔のままでじっと私の言うことを聞いていた。


それからポツリと私に呟いた。


「わかったよ……

でもひな……俺と一緒に来てくれるか?

俺……まだ怖いんだと思う……

本当に親に捨てられたってわかったらって……

自分がいらない子だって認めたくなかったのかもしれない……

もし本当にそうだった時に、傍にいて支えてほしい……」


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