夢の欠片
それから数日後――


私達は静岡に向かう新幹線の中にいた。


「お母さんにも会えるといいね?」


私がそう言うと、翔吾は照れたように笑った。


浜松の駅について、タクシーを拾うと、翔吾はお父さんが渡してくれた紙を頼りに、住所を告げた。


もっと田舎なのかと思っていたけど、意外と栄えている。


タクシーの窓から外の景色を見ながらそう思った。


駅から少し車で走った場所にお母さんの実家はあった。


翔吾は小さい頃来たことがあると昔の記憶を手繰り寄せながらそう私に言った。


「こんにちは」


声をかけながら引き戸を開けると、中に女性の姿が見えた。


彼女は翔吾を見るなり目を大きく見開いて呟くように言った。


「翔吾……?」


翔吾が頷くとお母さんはこちらに駆け寄ってきて、翔吾をきつく抱き締めた。


「会いたかったわ……

翔吾……元気そうで良かった」


涙を流しながらそう言って、お母さんはいつまでも翔吾を離そうとはしなかった。


良かった……


翔吾……やっぱりあなたはいらない子なんかじゃなかったね?


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