夢の欠片
「でも……まだ怖いんじゃないの?」


翔吾の問いかけに、お母さんはゆっくりと首を横に振った。


「お父さんのことはね?
もうとっくに許してるの……

私が出ていって間もなく翔吾も出ていったことをお父さんの手紙で知ったわ……

すごく心配してたけど、居場所を突き止めて、働いてるとこの親方さんに翔吾をよろしくって頼んだって手紙には書いてあった

私にも悪かったって謝ってくれて……

私は何度も戻ろうとしたんだけど、私に会わす顔がないって受け入れてもらえなかったの……

翔吾……

もうお母さん戻ってもいいわよね?

お父さんのところに……」


探してないわけじゃなかった。


母親を追い出した父親を翔吾が許すはずがないと思ったのかもしれない。


無理矢理連れ戻そうとしても帰らないと、きっとお父さんは思ったんだろう。


親方に息子を預けて、自分は一人きりで病と闘っていたなんて……


翔吾も同じ思いだったようで、お母さんに自分の意見を告げる。


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