夢の欠片
「母さん……

俺、何にも知らないで、すげぇ、親不孝してたのかな?

親父が親方にそんなこと頼んでたなんて知らなかったよ……

親父……酒呑みすぎて、肝臓壊したらしいんだ……

こないだ会った時、親父ってこんなに小さかったっけって思うくらい弱ってた……

母さんさえ良ければ帰ってあげてほしい

俺からもお願いするよ……」


翔吾の言葉を聞いて、お母さんはすごくホッとした顔をしていた。


帰ってもいいんだって思ったのかもしれない。


私達の結婚が、復縁のきっかけになってくれるなら、それはとても嬉しいことだった。


きっと翔吾は今、自分が愛されていたことを実感して、生きてて良かったって思ってるに違いない……


私もそうだったから、よくわかる。


チラッと翔吾の顔を見上げると、声には出さなかったけど、「ありがと」って言ったのが口の形でわかった。


良かった……


これでほんとに誰も欠けることなく、私達の結婚式に出席してくれる。


久し振りの再会を名残惜しみながら、私達はその日のうちに浜松から東京に戻っていった。


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