夢の欠片
結婚式当日――


隣でカチコチに緊張している中田の父が可笑しくて、私は笑いを堪えるのに必死だった。


「ひな……俺、大丈夫かな?

すごい緊張してきたんだけど……」


「大丈夫だよ

いつも通りでいんだから

私を無事に翔吾に届けてよね?お父さん?」


そう言って緊張をほぐそうとするけれど、父は右手と右足が一緒にでちゃうんじゃないかと思うくらいに緊張している。


「愛未さんに笑われちゃうよ?
深呼吸して落ち着こう?
だいたい主役は私なんだから、私より緊張してどうすんのよ」


私は笑いながらそう言ったけど、そんなに簡単にはリラックス出来ないらしい。


そんなやりとりをしていると音楽が流れ、教会の扉が開いた。


皆の視線を一斉に浴びて、ますます緊張する父を私がリードしながら歩き出す。


バージンロードの先を見ると、翔吾が私の方を愛しそうに見つめていた。


白いタキシードに身を包む翔吾を見ていると、とうとう彼のお嫁さんになるんだぁとしみじみ思う。


一歩一歩ゆっくりと進みながら、私は幸せを噛み締めていた。


ようやく翔吾の前まで近づくと、父が私を翔吾に引き継ぐ。



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