モカブラウンの鍵【完結】
「青りんご?」

「うん。私、青りんごの香りすごく好きなの。熟れる前の真っ直ぐな感じがする。そこが好きなんだ」

「いい香りですね。香水とかもつけるんですか?」

「ううん。香水は苦手。常に自分の周りに香りがまとわり付いている気がして嫌なの。自分がリラックスしたいときに好きな香りがあればいいかな」


佐伯さんらしいや。

昨日、使っていたストールは、佐伯さんの癒しグッズの1つなのかもしれない。

こうやって、佐伯さんのことを知っていきたい。

コーヒー牛乳、アロマキャンドル、料理が好き。

自分より人を大切にする。だから甘えることが下手。


さあ、佐伯さんが俺を好きになるまでに、俺はどれだけ佐伯さんのことを知ることができるんだろう。


アロマを選ぶ、佐伯さんの横顔を見ながら考えていた。 

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