モカブラウンの鍵【完結】
3月も終わりに近づいてきている。

桜のつぼみが膨らみだし、あと1週間もすれば開花宣言がされるのかなという感じだ。


昼間は温かくても、夜は肌寒い。

それでも桜やお店のディスプレイや新商品のキャッチコピーを見ると、春が近づいているんだなと実感する。

事務所の近くに新しくできた居酒屋へ行くことになり、人を避けながら歩いていく。


「金曜日の夜は人が多いな」

「そうですね。明日、明後日も彼女さん出張なんですか?」

「いや。明日の午後帰ってくる」

「寂しい休日にならなくてよかったですね」

「ああ、お前も佐伯と楽しい休日が過ごせる日が来るといいな」


ほっといてくれ。

そんなのは当分先のことだよ。

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