モカブラウンの鍵【完結】
立食パーティは1時間半で終わった。

俺たちは直帰ということになっている。


「佐伯さん、家まで送りますよ。」

「まだ18時前よ。大丈夫」

「その格好で1人は危ないですから」


佐伯さんは特に反論もせずいたので、送ることを了解してくれたと思い、隣を歩いた。


アパートの近くを歩いていると「うわ」と、佐伯さんが歓声を上げる。

視線の先を辿ると、公園にある桜が咲いていた。

それは五分咲で、あと1週間もすれば満開になるだろうなという感じだった。


「少し見ていきましょうか? 夜桜見物」

「うん」と佐伯さんが嬉しそうに返事をしてくれた。

「奇麗。春だね」

「そうですね」


桜を見上げる佐伯さんの横顔が奇麗だった。

顎から首筋にかけてのラインが桜に負けないくらい白く、夜空に浮き上がっている。

あの肌はどんな感触なんだろう。

バカな下心が頭を覗かせていた。

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