モカブラウンの鍵【完結】
「なんですか、あれ?」
男の方を向いて、顎で差した。
「ざっくり言えばナンパ」
「気をつけてください。ここに居る間は俺から離れないでください。いいですね」
「うん」
はあ、焦った。
ああ、こんなことで佐伯さんの名前を呼び捨てにしたくないよ。
初めて『奈央美』って呼んだのに。
初めて『涼太』って呼ばれたのにさ。
佐伯さんをナンパする男の前では『奈央美』と『涼太』と呼び合って、回避していた。
キツイ香水の匂いを撒き散らす女が、俺に話しかけてきた時の佐伯さんがすごかった。
「涼太、少し疲れたから外に出ない?」と言って、俺の左腕に佐伯さんの右手が絡ませてきた。
「大丈夫か、奈央美。外出よう」
俺たちは一旦、会場を出た。
俺は心の中で「佐伯さん、そんなに密着しないでください。その胸が、胸が当たっているんですよ」と叫んでいた。
あのときはヤバかった。
男の事情を理性総動員で回避した。
男の方を向いて、顎で差した。
「ざっくり言えばナンパ」
「気をつけてください。ここに居る間は俺から離れないでください。いいですね」
「うん」
はあ、焦った。
ああ、こんなことで佐伯さんの名前を呼び捨てにしたくないよ。
初めて『奈央美』って呼んだのに。
初めて『涼太』って呼ばれたのにさ。
佐伯さんをナンパする男の前では『奈央美』と『涼太』と呼び合って、回避していた。
キツイ香水の匂いを撒き散らす女が、俺に話しかけてきた時の佐伯さんがすごかった。
「涼太、少し疲れたから外に出ない?」と言って、俺の左腕に佐伯さんの右手が絡ませてきた。
「大丈夫か、奈央美。外出よう」
俺たちは一旦、会場を出た。
俺は心の中で「佐伯さん、そんなに密着しないでください。その胸が、胸が当たっているんですよ」と叫んでいた。
あのときはヤバかった。
男の事情を理性総動員で回避した。