モカブラウンの鍵【完結】
「姉ちゃんは自分の料理が不味いって自覚ある?」
こっちを睨みながら読んでいた雑誌を俺に投げつけ「うるさい」と返してきた。
雑誌は顔面に直撃する寸前、片手で払い、バサッと床に落ちた。
ただ、雑誌の角が手首にあたり、薄く赤くなっている。
「痛いな。ま、自覚はあるんだ。幸司さんに美味しいって言ってもらえるように料理教室にでも行ったら? 将来、子供が生まれたときのためにもさ」
足元に落ちている雑誌を拾い上げ、姉ちゃんの膝に置いた。
これ以上一緒にいても、また雑誌を投げつけられるかもしれないと思い、自分の部屋へ引っ込んだ。
ドアを閉めると、何かが当たる音がした。
やっぱり、また投げた。
姉ちゃんは昔からイライラすると物に当たる癖がある。
正確には物を使って弟に当たる癖がある。
一応、人に当てる最低限のマナーをもっているらしく、飛んでくるものは雑誌、新聞、タオル、クッションのどれかだ。
今日は雑誌の気分らしい。
ジーンズとパーカーに着替え、カバンから携帯を取り出した。
こっちを睨みながら読んでいた雑誌を俺に投げつけ「うるさい」と返してきた。
雑誌は顔面に直撃する寸前、片手で払い、バサッと床に落ちた。
ただ、雑誌の角が手首にあたり、薄く赤くなっている。
「痛いな。ま、自覚はあるんだ。幸司さんに美味しいって言ってもらえるように料理教室にでも行ったら? 将来、子供が生まれたときのためにもさ」
足元に落ちている雑誌を拾い上げ、姉ちゃんの膝に置いた。
これ以上一緒にいても、また雑誌を投げつけられるかもしれないと思い、自分の部屋へ引っ込んだ。
ドアを閉めると、何かが当たる音がした。
やっぱり、また投げた。
姉ちゃんは昔からイライラすると物に当たる癖がある。
正確には物を使って弟に当たる癖がある。
一応、人に当てる最低限のマナーをもっているらしく、飛んでくるものは雑誌、新聞、タオル、クッションのどれかだ。
今日は雑誌の気分らしい。
ジーンズとパーカーに着替え、カバンから携帯を取り出した。