モカブラウンの鍵【完結】
お昼休みが終わり、午後の業務が始まる。

何気無く事務所のドアを見ると、中を伺っている男がいた。

なんだ、あれ?

図面のデータを一旦保存して、ドアの方へ向かった。


「あの何かご用でしょうか?」

「あのこちらに佐伯奈央美さんがいらっしゃると思うのですが」


奈央美の知り合い?

男は俺と身長が変わらない。

仕立てのいいスーツを着こなし、清潔感と知的感を漂わせている。

怪しい感じはしないけれど。


「佐伯とお約束でも」

「すみません。アポは取っていないのですが、仕事の依頼をしたいんです。私、中野工房の中野和史(かずふみ)と申します」

この前、社長が載った雑誌に、中野工房も載ってたな。

写真もないインタビュー記事だったけど。


身元は安全。

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