モカブラウンの鍵【完結】
モヤモヤを残したまま、松下さんと松下さんの彼女とご飯を食べる日なってしまった。

一応、奈央美には聞いてみた。

返ってきた言葉は「大学の先輩」だけだった。

それだけなら、別にいいじゃないか。

なのに、モヤモヤした感情が抜けない。



食事はいつもの小料理屋『道草』。

4人掛けの席につき、自己紹介を始めた。


「初めまして。匠(たくみ)がいつもお世話になっております。野沢亜希です」


俺が想像していた、松下さんの彼女はキャリアウーマンの美人系だった。

でも、目の前にいるのは、柔らかい雰囲気をもった小柄な女性だった。

ダークブルーのシフォン素材のワンピースに白いカーディガンを羽織っている。

可愛らしいという言葉が的確な気がした。


「初めまして、杉山涼太です」

「初めまして、佐伯奈央美です」


野沢さんが俺と奈央美の顔を交互に見た。

そして、クスクスと笑い出した。


「あの、どうかしましたか?」と、奈央美が不思議しそうに聞く。

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