モカブラウンの鍵【完結】
「おはようございます」

オフィスのドアを開けると、社長が俺と佐伯さんをニヤニヤしながら見る。


「おはよう。佐伯、涼太はちゃんと家まで送ったか? 送り狼にならなかったか?」

「社長! 僕はそんなことしませんよ!! ちゃんと家まで送り届けたあと、すぐに帰りましたから」

「本当か?」

社長は俺に疑いの目を向けたまま、佐伯さんに聞いた。


「社長、本当ですよ。杉山がそんなことをすると思いますか?」

「あっ? 無いな……」

「そう思うなら、変なこと言わないでくださいよ」


俺の言葉に、社長は笑いながらコーヒーをマグカップに注いだ。

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