モカブラウンの鍵【完結】
「なるほど。私は杉山さんと初めて会った時から、料理をする人だと思いました」

「そうなんですか?」

「はい。あなたの手を見てわかりました。そして必ず本題に入る前に、料理に関する雑談をしていましたよね。その内容で料理をする人だと確信しました。

私は『シルバー・ラボ』の調理器具を提供していいと思う条件は『料理と人のつながり』を感じている人です」

賀川社長は座り直し、少し前屈みになった。

俺は背筋を伸ばして、社長の目を見る。



「あなたはその条件を満たす人です。そしてペンションのオーナーである広岡さんも同じでしょう。杉山さんの話を聞いていて確信しました。

『ARAI DESIGN』と契約します。

我社の調理器具で調理した料理が、ひとりでも多くの人を幸せにすることを願っています」


賀川社長は立ち上がり、両手を俺の前に差し出した。

俺は立ち上がり、その手を両手で握手する。


「よろしくお願いします」


何だかよくわからないけれど、涙が出そうになった。

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