モカブラウンの鍵【完結】
「そんなに頭動かすと、アルコールが変な回り方しますよ」と笑いながら俺が言うと、顔を振るのを止める佐伯さん。


「酔っ払っている人を襲う趣味はありませんから。でも、佐伯さんはすごい魅力的ですよ」


俺の言葉に反応して、赤い顔はますます赤くなって、耳や首も赤くした。


「もう寝てください。佐伯さんが眠るまでいますから」

「うん」


目をゆっくり閉じると、数分後には規則的な寝息が聞こえてきた。

アルコールが入っているから寝付くのが早いな。

繋いでいた手をゆっくり離す。

そしてワイシャツを掴んでいる手を離す、予定だった。

指と指の隙間にワイシャツが入り込んでいる上に、手はグー。


完璧に2カ月前と同じ状況だ。

当分、手の力を緩めそうにないし。

まあ、もう少しだけ様子見てみるか。

足元に丸まっている毛布を片足を使って上の方に持ち上げる。

手が届く範囲に来たら、佐伯さんを起こさないように気を付けながら体を少し起こした。

佐伯さんの体を覆うように毛布をかける。


俺も、ちょっと寒いかも。

悪いと思いつつ、毛布を自分の腰ぐらいまでかけた。

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