モカブラウンの鍵【完結】
「ここのホテルの1階、スーベニアショップがあるんで、何か買ってきますよ。何がいいですか?」

「お任せします」


「わかりました。俺、1時間ぐらい時間潰してくるんで、シャワー浴びたいならどうぞ。何かいるものあったら携帯に連絡下さい」

「ありがとう、杉山」

「いいえ」


ベッドから立ち上がり、椅子に掛けたジャケットを着る。

携帯とサイフ、それとカードキーをポケットに入れた。


佐伯さんが居るベッドを通り過ぎ、ドアを開けよとしたときだった。



「ごめん。さっき、勢いよく突き飛ばして」



振り向くと俯き加減の佐伯さんが立っていて、こっちを見ないようにしている。


「いいですよ。大丈夫ですから。気にしないで下さい」


そのまま部屋を出た。

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