臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
楠本だって、麻由子が好きなのは航平だと知っている。なのに、何でそんな危険な状況にさせようとするのか。

千尋は楠本を睨んだ。


「そんなこと言えるわけねーじゃん。佐久間、こっち来たばかりだしさ」

「んー、そうだけど。でもねー」


確かにそうベラベラと麻由子の気持ちをばらすことは出来ない。千尋は腕組みをして、考え込んだ。佐久間が麻由子に変なことをしなければいいのだが、それは分からない。

戻ってきたら、釘を刺しておこうか。



トイレを出た麻由子は近くの壁にもたれている腕で組んでいる佐久間を見て、びっくりする。イケメンだが、目つきがあまりよくない佐久間は威圧感がある。


「どうしたの?」


佐久間の切れ長で鋭い目が自分を見ているから、警戒した。

近付いて来た佐久間に手を握られ、麻由子の体は強張る。

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